薄井坦子(うすいひろこ)の科学的看護論とは?






当時85才
(画像引用:https://www.megv.co.jp/megv/interview40_usui.php

<歴史・時代背景>

<略歴>

1932年広島県で生まれ。
お茶の水大学で教育学を穿孔、後に東京大学医学部衛生看護科で看護学を学び、以来、看護学の文献研究から調査へ、そして実践へと逆コースで看護とは何かを探求してきた。ナイチンゲールにおいてすでに看護の本質が解明されていることを発見し、その後、看護教育に専念した。東京女子医大看護短大教授、千葉大学看護学部教授を経て、現在宮崎県立看護大学の学長

<KEYWORD>

・全体像モデル
・立体像モデル
・科学的看護論
・生物体と生活体
・ライフサイクルモデル

薄井坦子の<人間とは>

・認識をもつ有機体が社会の中で互いにつくりつくられる諸過程(生命を維持する過程・生活習慣を獲得する過程・社会関係を獲得する過程)の統一体である。

・ヒトという生物であり、人間社会の中で互いにつくられる。

人間に共通な特徴を備えた生物体としてのあり方とそのヒトらしい特殊性・個別生を表す生命体としてのあり方とが有機的に絡み合って統一されている存在。

ナイチンゲールとの比較

類似点
環境の影響によってつくられる
からだとこころから成る

相違点

【薄井】
社会関係から成る。人間関係による影響を大きく受ける

【ナイチンゲール】
知性と可能性から成る
人間を超えた自然による影響を大きく受ける

薄井坦子の<健康とは>

・人間がその生活過程において持てる力を最大限に活用し得ている状態。

・身体も精神も様々な繰り返しリズムを獲得し、相互に影響し合いながら一定の近郊を保っている状態。

ナイチンゲールとの比較

類似点
・その人の持てる力を最大限に活用している状態
・生命力とは自然力と社会力の統合である

相違点

特にない

薄井坦子の<看護とは>

<科学的看護論の全体像>

看護実践は看護するという目的意識をもった看護婦が対象とした人間に看護上の問題を発見し、それらの解決の方向性を探り、より健康的な生活を作り出す手段を選びながら関わっていく過程である。

 

科学的看護論の全体像モデル

看護の対象となる人の「からだ・こころ・社会関係・生活過程」を現在の健康状態につなげて思い描けば、それまで目に見えなかった情報が入ってくる。それらの情報を視覚化してわかりやすくしたものが全体像モデルである。

 

科学的看護論の立体像モデル

全体像モデルから得た情報を、今その人にはどの「発達段階」にあり、どういう「健康障害」を持って、現在どんな「健康段階」にあり、どういう「生活過程の特徴」を持っているかという四方向からのキーワードで考えて、整理したものが立体像モデルである。

 

ナイチンゲールとの類似点・相違点

類似点

生命力の消耗を最小にするよう生活を整える
病気そのものについてではなく、病気の人をケアする

相違点

対象は
【薄井】からだとこころのバランスが乱れた人
【ナイチンゲール】病気の人だけでなく健康な人も

【薄井】「自然科学の法則」
【ナイチンゲール】「自然の法則・神の法則」

 

<参考文献>

薄井坦子著:看護学言論講義 第3版(現代社)

患者理解への看護の視点―科学的看護論を使う(日本看護協会出版会)

薄井坦子著:何がなぜ看護の情報なのか(日本看護協会出版会)

フローレンス・ナイチンゲール著;訳=小玉加津子・尾田葉子:ノーツ・オン・ナーシング 1859

 

 

薄井坦子|科学的看護論のおすすめ本

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
薄井坦子氏が病気をどう捉えているかを理解するのに役立つ本です。
全体像って何という点にも理解が深まると思います(^^)
結構古い本ですが、本質は変わってませんので全然使えます!

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