看護師の勤務表を自動化!AIで実現できる?
目次
勤務表は思い通りにならない・・・
休みの希望が通らない
来月のシフトがギリギリにならないとわからない
シフトの調整は各自でと言われるけど言い出しにくい(個人間での調整は困難)
病院で勤務している看護師の大半はこう感じているのではないでしょうか?
多くの看護師からシフト表が待ち遠しいと声に上がるほど、シフトは看護師のライフスタイルに大きな影響を与えています。
その多くの看護師の悩みである勤務表の作成は看護管理者である病棟の看護師長の悩みのタネであり、毎月の身体的、精神的負担でもあります。
これって、はっきりいって正解のないパズルを毎月やっているようなもの、何がよかったのかもちょっとわからないまま、病棟の師長や副師長の評価によって人員配置を決めています。決して悪いわけではなく、これって本当に一から手作業で何日もかけて手作業でやらないといけないことなのって思い続けています。
様々なところでシフトの自動作成は試みられていますので、検索して有用性について調べてみました。
2019年2月14日にはホリエモンチャンネルでも看護業務+AIでシフト管理の自動化についてテーマに上がっていたので参考に動画を掲載しました。
<質問>
「看護とAIの融合について考えています。インテリジェンスな面や管理業務(勤務表作成、時間外勤務計算)はAIにやってもらえば、看護の方に時間が使えるためAIには期待しています。 さらに言えば看護の本質はAIにできないため共存の視点では最高のマッチングと考えています。職場で上司にAI導入を押しているのですが、リテラシーがなく話になりません。自分で調べたりセミナーにいくのですが看護とAIについては良い情報が得られませんでした。この業界は固定概念が強く鎖国的な気がします。 どうすれば看護業界にAIを取り入れることができるでしょうか?」という質問がありました。
これに対して、
<ホリエモンの回答>
自分でAIのプログラミングを覚えて、自分の業務をAI化していくといいよ。
この動画でもシフト調整については大変だという意見がありましたが、機械化できる業務をAI化していくといいのではないかと話されていました。
そうなんです。
シフト作成は結構時間がかかる上に、意外とスタッフからは受けが悪かったりします。
AIを活用してシフトを作ることによって
管理者の作成時間が効率化できる
スタッフの不平等感が軽減できる
シフトの組み方をより複雑化できる
希望休の日数を増やせる(?)
など業務効率化によって超勤などの人件費が削減でき、休日休暇などの希望が通り職務満足度も上がる。有給消化率も上がりそうですね!すると、ホワイトな職場と認知され、応募する看護師が増える。ということまで狙えそうです。
⚫医療法人社団 アルペン会 アルペンリハビリテーション病院
病棟勤務シフト表の作成自動化における効果と課題
アルペンリハビリテーション病院では実際にシフト管理を自動化していて、そのプロセスを公開していました。
この報告では、
作成条件に
• 個人スキルを師⻑が3段階に分け、配置バランスに反映
• 1日(縦)の条件・・・約50種類
• 能力を加味した配置バランス、夜勤明けと早番の組み合わせ等
• 1ヶ月(横)の条件・・・約40種類
• シフトの回数、連続性、夜勤間隔、土日連続休暇、等
• 個人にアンケート実施の反映
夜勤/早番/遅番の希望回数
土日の休暇の希望
連続勤務の許容、連休の希望
として作成の自動化を進めたそうです。
当初は看護幹部は消極的で、勤務表作成は管理者業務であることや希望休や2日に限るなどの意見があったが、徐々に理解が浸透していったそうです。
そして、この自動化の結果については4つ見られました。
看護師の勤務表を自動化した結果
①作成期間の短縮
数日かけていたところが、短時間に
②希望休の実績変化
原則は、月に2日。
• 2日を超えた希望は可能。(最優先の2日と区別)
• 休みの集中によっては無理なこともある
• 希望休の数は把握 → 「次回は我慢」の場合もある
• 導入後は、希望休の実績は、1人平均1.5→2.5日に増えた
(休みの希望日が、2日は必要無い月もある)
• 「休みたいから有休休暇を使いたい」という意見は減った。
(単に休みを増やしたい訳ではなく、「希望した日に休みたい」という
ニーズを満たした)
③看護師長の業務の変化
病棟運営を感覚ではなく、ルールに則った人事評価につながった。
④人事考課との差異表出
勤務シフトを作成する際の人材評価と人事考課での人材評価の視点が異なることがわかり、その点を統合した評価方法の導入が必要だと考える切っ掛けになった。
シフト表を作成する責任者である看護師長への配慮
• 「勤務表をつくること」≒「看護師⻑のアイデンティティ」
この部分での心理的な抵抗が大きい。
管理者はこの仕事をスべきという概念があるため、手放すことに心理的な抵抗感をいだきやすいようです。めんどくさい、またかと思っていても、どこかでこれは私にしできない仕事というプライドをもっていると思います。
あれだけの人数のシフトを作成し、不満なくやり遂げたときの達成感は本人にしかわからないところだと思いますが、きっと開放感があるんじゃないかなって思います。
勤務表の自動化に必要なこと
これは、看護師長のアイデンティティを壊さないように、自動化することでのメリットを看護管理者への配慮を行うこと。そして、今までの経験や感覚を明文化していくことがとても重要だと感じます。
勤務表の自動作成のゴールを明確にする
最後に、勤務表の作成は、業務が円滑の行われることやスタッフ間の連携を高めることに繋がります。それだけではなく、ベテランが新人を教育するという教育的意味合いも含んでいます。協働を通し、多くのスタッフが連携することで得られる効果をより高く得るためには勤務表は作成されています。
そのため、その目的を果たすシフトで合ったかを評価する軸が必要だと思っています。
その評価軸を明確にしてシフトの自動化を進めていけば、効率化と組織の醸成は両立していくのではないかと思っています。
勤務表の作成には多数の因子が組み込まれているため、複雑化していますが、AIを導入することによってもっと効果的なシフトが作成できることもまた夢ではありません。
業務効率の向上は働く看護師の職務満足度にも貢献し、人材不足の新たな対策としても期待できると考えています。
ソフトやハードの開発に多額の資金が必要になると思いますが、ここは日本看護協会が旗を振って開発に乗り出されることを願っています!