看護で学ぶ栄養 エネルギー代謝について





エネルギー代謝と測定

エネルギーの測定には、「ヒューマンカロリーメーター」といわれるチャンバー(熱が出入りしないよう密閉構造になっている特殊な小部屋)の中に人間をいれ、身体から発生する熱量を、直接測定する方法と酸素摂取量の測定や心拍数から間接的に測定する方法がある。

 

1kcal = 4.184kJ

  • 1kcalとは、1リットルの水を1℃上昇させるために必要な熱エネルギー

 

食事摂取基準(Dietary Refarence Intakes;DRI)

食事摂取基準は、栄養素については5つ、エネルギーについては1つの基準値から構成されている。

<栄養素>

推定平均必要量:ある集団の50%の人が必要量を満たすと推定1日量。

推奨量:国民の97~98%が1日の必要量を満たすのに十分な摂取量。

目標量:生活習慣病の1次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。

上限量:ほとんどすべての人に健康上悪影響を及ぼす危険のない栄養素摂取最大量。

 

<代謝エネルギー>

推定エネルギー必要量:「1日の基礎代謝量×生活活動強度」より算出されたエネルギー量

基礎代謝(BM):based metabolism(BM)は身体的・精神的に安静状態(横に伏し、体温を維持し、心臓や呼吸などの生命維持に最低のエネルギー状態)でエネルギーを消費することをいい、そのエネルギー量を基礎代謝量という。これを体重1kgあたり1日量(kcal/kg/日)、または1分あたり(kcal/kg/分)で表示されると、基礎代謝基準値がでる。基礎代謝量は体表面積、性、年齢、骨格、栄養状態、ホルモン分泌、妊娠、体温、季節などで変化する。

基礎代謝に影響する因子

  • 体格…身長が同じであれば、やせた人よりも基礎代謝量が大きい。身長、体重が同じであっても、筋肉の発達した人は、肥満の人よりも基礎代謝量は大きい。
  • 年齢…出生直後より乳児期までは増加していき、満1歳で約60kcal/kg/日と最高となる。その後はしだいに減少し、思春期では再び少し増えるが、その後は加齢とともに減少し20~60歳の間では約24kcal/kg/日となり、以後わずかに減少する。
  • 性 …女子は男子のほぼ90%である。
  • 季節…夏(熱帯地)では低く、冬(寒地)では高い。外気温10℃につき2%ぐらいの差あるという。
  • 発熱…体温1℃の上昇につき、約13%増加する。したがって、発熱時には上昇する。
  • 睡眠…睡眠時はおよそ10%減少する。
  • 栄養…低栄養(低たんぱく・低エネルギー食)では低く、過栄養では一般に高くある。
  • 内分泌機能…甲状腺や副腎髄質の機能の亢進によって基礎代謝量が増加する。
  • 月経の影響…女子の場合、月経2~3日前に基礎代謝は最高になり、月経中には最低になる。

 

生活活動強度:ΣAF・T/1440

       AF(activity factor):動作強度(基礎代謝の倍率)

          T:各種生活動作の時間(分)

 

生活強度 生活動作と時間 日常生活の内容
生活強度「I」

(軽い)

1.3

睡眠:8時間
座る:12時間
立つ:3時間
歩く:1時間
通勤、買い物など1時間程度の歩行と軽い手作業や家事などによる立位の他は大部分座位で事務、勉強、談話等をしている場合
生活強度「II」

(中程度)

1.5

睡眠:8時間
座る:7~8時間
立つ:6~7時間
歩く:2時間
通勤、買い物の他仕事などで2時間程度の歩行と事務、読書、談話による座位のほか機械操作、接客、家事等による立位時間の多い場合
生活強度「III」

(やや重い)

1.7

睡眠:8時間
座る:6時間
立つ:6時間
歩く:3時間
筋運動:1時間
農耕、漁業、建築などで座位、立位、歩行のほか1日のうち1時間程度は重い筋作業に従事している場合
生活強度「IV」

(重い)

1.9

睡眠:8時間
座る:4~5時間
立つ:5~6時間
歩く:4時間
筋運動:2時間
1日のうち2時間程度は激しいトレーニングとか木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような重い筋作業に従事している場合

 

ハリス・ベネディクト方程式 (基礎代謝量)

男性:BMR = 66.5+Wt×13.8+Ht×5.0-Age×6.8

女性:BMR = 665+Wt×9.6+Ht×1.9-Age×4.7

(ただし、Wt:体重 Ht:身長 Age:年齢)

例:30歳男性、Wt:70kg、Ht:180cm、の場合

66.5 + 70×13.8 + 180×5.0 - 30×6.8 = 1728.5(kcal)

特異動的作用(食事性熱発生)(SDA:Specific Dynamic Action)

…食物を摂取すると、それを消化・吸収し、体内で処理するために代謝が高まる。これを、食物の特異動的作用(SDA)という。しかしこのたかまりは、日常の活動代謝の中に含まれる。

 

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