食道アカラシアってどんな病気?





食道アカラシアってどんな病気?

食道アカラシアは、食道株平滑筋層内Auerbach(アウエルバッハ)神経叢細胞の編成・消失によって、食道の性状な蠕動運動の欠如と、噴門部括約筋の弛緩不全が生じ、下部食道における食物の通過障害と食道全体(特に下部)の異常拡張が引き起こされる機能的疾患です。

この症状により、食べたものが食道内に溜まったままになり、胸あたりにつかえを感じることがあります。また、夜遅く食事をしたあと横になると、口や鼻に食事や唾液が逆流し、枕元が汚れてしまったり、夜突然むせて、嘔吐したりすることもあります。

食べたものが逆流するといっても、食道内に溜まったものが吐き出されるため、胃酸や胆汁が混ざっていないので嘔吐しても苦くも酸っぱくもないというのも特徴です。

統計的なデータでは、10万人に1人の確率で発症していることがわかっています。

一般に予後は良好です。しかし、栄養障害、誤嚥などによる肺感染症を合併すると、予後不良となります。変性疾患であるため経過は長いです。

食道アカラシアは食道が拡張する

食道アカラシアは蠕動運動の欠如と噴門部括約筋の弛緩不全が大きな原因となるため、食べたものが食道から胃へ送り込むことができなくなります。

この状態が継続することによって、通常であれば数秒で食道を通過するはずの飲食物が食道内に停滞するため、食道を徐々に太くしてしまいます。

食道アカラシアは強い胸痛を起こす

食道アカラシアは、食道自体の運動機能も障害されているため、食道が異常な収縮を起こし強い胸の痛みを自覚するのも特徴です。

この痛みは、アカラシアの約40~50%の患者さんに自覚されていて、心筋梗塞と間違えるほどの痛みを感じることがあります。心筋梗塞は命にかかわるため、循環器内科に受診し、循環器の異常がないかしっかりと鑑別することが必要です。

食道アカラシアの診断はどうするの?

食道内圧測定で、食道蠕動波の消失、嚥下時の下部食道括約筋圧(LES圧)の上昇が見られる時、食道アカラシアと診断されます。

食道アカラシアはどう治療するの?

まず、カルシウム拮抗薬を投与して、効果がなければ非観血的拡張術をおこなり、さらに、外科的治療を行います。

STEP①:薬物療法

LESが閉じたままの状態なので、LES圧を下げる作用のある薬を使用していきます。具体的にはカルシウム拮抗薬(ニフェジピンなど)亜硝酸製剤などを用いますが、あまり効果は無いのが一般的のようです。また、カルシウム拮抗薬は血圧を下げる作用があるため、もともと血圧が低めの人には使用できません。

そのほかに症状出現あるいは増悪には精神的側面も大きく、感情の乱れの強いときに増悪しやすいことがわかっています。このことから、精神安定剤(ジアゼパム)が有効なことも多く処方されることがあります。漢方薬(芍薬甘草湯など)を用いることもあります。

STEP②:非観血的拡張術

Ballon(バルーン)によって強制的に押し広げる方法です。

バルーンをふくらませることによってLESの筋肉の一部を裂き、食道から胃への流れをよくしようと試みます。病態が比較的軽い患者さんには有効ですが、時間が経つともとに戻ってしまい、何度も行うということもよくあります。

STEP③:内視鏡的手術(POEM:ポエム)

POEM(ポエム):内視鏡的筋層切開術というのがここ最近治療成績がよいとされています。まだ、最近開発された方法なので長期的な効果についてはまだ検討が不十分とされていますが、名バルーンより効果が期待され、外科的治療にくらべ侵襲(傷)が少ないので、負担も少なく治療を終えることができます。

入院から退院までの期間はおよそ1週間弱となっていて、負担が少なく治療をすることができます。

ポエムも外科的治療もどちらにも言えることですが、通過障害のもととなる筋肉を一部切ることによって通過障害を改善しているので、逆流しやすくなってしまうというデメリットもあります。逆流性食道炎の発生率は15%程度となっており、比較的起こりにくく治療を進めることが可能です。

現時点で、食道アカラシアの治療はPOEMが標準的治療になってきています。

 

POEMを実施している病院(参考)

日本国内で現在POEMを導入している病院は、昭和大学江東豊洲病院の他、指導を受けた医師たちが地元の病院に戻って治療を行っていて、現時点で20施設程度となっています。

STEP④:外科的治療

  • a.Heller(ヘーラー)の下部食道筋層切開術
  • b.Fundic patch法(Thal-旗福法)
  • c.下部食道筋層切開・胃底部縫着術など

最近では、ポエム(POEM)という内視鏡手術の

症状出現あるいは増悪には精神的側面も大きく、感情の乱れの強いときに増悪しやすい。したがって、精神安定剤(ジアゼパム)が有効なことも多い。

食道アカラシアの診断に、食道造影が行われることがある。健常者では造影剤は数秒程度で以内へ流れ込むが、食道アカラシアではすべての造影剤が胃内へ流れ込むのに1時間程度かかる。

食道アカラシアの予後について

一般に予後は良好です。しかし、栄養障害、誤嚥などによる肺感染症を合併すると、予後不良となります。変性疾患であるため経過は長いのも特徴になります。

 

食道アカラシアになった人の約5%が食道がんを発病するといわれており、食道がんの発生リスクが一般の人と比べて約10倍高いことが知られています。そのため、食道がん検診のためにも食道アカラシアの治療後も1年に1回の内視鏡検査が必要だとされています。

食道アカラシアに関する動画

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